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偽妊娠が始まった



(今朝も城北公園の置き石の上、北風が強く寒い朝となった) 


今日の昼間、小ユキの腹を見ていると、乳腺から母乳が出ているのを見つけた。予想どおりの時期に差し掛かっており、過去の経験もあるので驚きはしないが、これが「偽妊娠」(擬似妊娠ともいう)の始まりである。


小ユキたちは、ちょうど10月の下旬に発情期のピークを迎えている。その時から加算して62日前後が、ちょうど「出産の予定日」に当たるわけだ。その計算結果から、私の手帳には、ちょうどクリスマスの付近に◎印が付されている。もし何らコントロールをしていなければ、クリスマスには可愛い仔犬が生まれていたことになる。コントロールの失敗で妊娠したということは、まずあり得ないので、今回も、今後1ヶ月ほどは、こうした偽妊娠の状態が続くだろう。母乳も長ければ来年の1月下旬ぐらいまでに至るはずだ。


数日ほど前から、小ユキの乳房は少しずつ大きく変化していた。今日認められた母乳は、クリスマス出産に向けた準備の始まりである。そして本来ならば出産することによって、授乳が始まるわけであるから、今後ますます母乳の出方は多くなってゆくだろう。

MILK.jpg

(小ユキの母乳を見つけた。偽妊娠の始まりである)


そして刺激を与えなければ、収束も早いはずだが、どうしても小ユキ自らが「舐めてしまう」ため、刺激が継続され、母乳の出も容易には止まらない。特に後半は、あとからあとから溢れるように湧き出してくる。そしてこの時期になると妊娠時と同様に、体調そのものもけだるそうに見える。


我が家での偽妊娠は、少なくとも4歳ぐらいまでは、殆どその兆候もなかった。けれども5歳を過ぎたころから、兆候が出始め、過去の2回ほどは顕著である。この傾向は回を重ねるごとに重度を増すようにも思える。つまりクセになるのだと思う。この傾向が今後何歳まで続くかはわからないが、小ユキの生体が雌としての機能を保持し続ける限り続くのだろう。そして懸念されるのは(子宮蓄膿症などと同様に)乳がんの併発である。このことに関しては細心の注意を払って、見守ってゆくしかない。


これからの一時期は、小ユキは常に腹部を気にするようになる。そして妊娠した母犬が神経質になるように、いつもよりもナーバスになるので注意が必要である。感情の起伏にも(発情期ほどではないが)変化が見られる。油断していると何らかのきっかけで爆発しないとも限らないので、ユキ丸との関係にも注意が必要である。ユキ丸自身も時折、小ユキの腹部を気にするようになってゆくから。


話を一般論に戻すと、こうした偽妊娠は、避妊をしていないすべての雌犬に、何らかの兆候をもたらすものとして知られている。むろん犬種による差異や、年齢による変化、そして個体差もある。中には殆ど飼い主が気がつかないほど、軽微なものもあるはずである。


そうした前提で評価するなら、小ユキの偽妊娠はかなり重度な部類に属すると思う。私はその原因の一つに「雄のユキ丸とずっと一緒にいること」も、何らかの要因になっているのではないかと考えている。ホルモンのバランスは生理的な要因とも密接に結びつくので、心理的な要因も欠かせないものだと思うからだ。


そして毎回ながらに思うことだが、本来ならば出産し、仔犬に授乳しているはずの時期を迎えると、小ユキは毎日、熱心に自らの母乳を舐める動作を繰り返している。それを見るとなぜか「母犬になれない悲哀」というものを感じずにはいられない。本来ありうべき自然な姿を通して、犬たちと生活を共にすること、それを何よりの理想とする立場にありながら、この部分においてだけは、自然本来の摂理に反しているという矛盾を認めざるを得ないからだ。


不幸な犬を生み出さないということも理解し、また一介の会社員であるという立場からも、我が家では仔犬をとることは断念してきた。そして今後もそうするであろう。すると、そうした意識の向こう側には、どうしても以下の疑問が残るのである。


いったい世の中で、どれほどの人が、愛犬の去勢避妊について真剣に考えているのだろうか?と。望まれない命をこれ以上生み出さないためとか、愛犬の局部に発生する病気を未然に防止するためと、はっきりと言いきれる飼い主はまだ良い。けれども、より多くの飼い主の決断は、「そういうものだと言われたから」とか、「飼育書にそう書かれているから」とか、もっとひどいものになると「その方が飼いやすいから」というものもあるのではないかと、そう思うからである。


事実、去勢避妊をほどこさない犬たちの飼育は、確かに飼い主にそれだけの負担を強いる結果となる。性格的な落ち着きや、マーキング等に関する執着心の軽減といったメンタルなものから、発情期、室内の床に残される血痕、あるいは偽妊娠時期における母乳の付着も同様である。そして雄犬の場合でも同種の付着物は発生する。そして1頭飼育ならばそこまでであるが、雌雄2頭飼育の発情期における手間は(以前にも書いたように)その比ではない。


今日、安易に飼育放棄するような事件が後を絶たない。おそらくこうした事件の背後には、「安易な飼育以外は望まない」という軽薄な飼い主との間に、何らかの因果関係がある。だからこそ最後に問いたい。「去勢避妊が、単に飼い易さだけを理由に決められていないだろうか」と。もしこのことに思い当たるなら、その飼い主は、きっと飼育放棄者の予備軍となりうることを自覚すべきだろう。そして、即座にそう答えられない方も、決定の心底にそうした暗黙の了解がなかったかどうかだけは自問していただきたいと思う。


小ユキの偽妊娠に際して、ふと思ったことを言葉にしてみた。去勢避妊については、それを肯定する、否定する以前に、そのことを「真剣に考えたことがあるかどうか」こそが重要なのだと思う。真の愛犬家ならば、必ずそうした過程を通過してきているはずと思うからだ。



小雪丸稿 | 19:38 | comments(2) | trackbacks(0)
コメント
コメありがとうございました。

今のところ薬の副作用も殆どなく…自分では病人と言うことを時折忘れている状態です。
お心遣いありがとうございました。

小ユキちゃんは偽妊娠するんですか…
私も家庭で安易に繁殖するのは反対です。

元々は番犬だった犬も今は人間に飼いやすいように改良され・・・
その為に病気や疾患などを患って生まれてくる子供が多い中・・・可愛いからとかこの子の子供がみたいとかという理由だけで子供をうませるのはとても危険なことだと思っています。
疾患を持って生まれた子・・人間なら手厚く看護されるところを動物たちは物同然で処分される・・・

やはり小さい命でも・・・
簡単に繁殖して売りさばいたり捨てたり殺したり・・・
なんて事はなくなってほしいと思っています。

この世に生まれた以上は皆幸せでいてほしいです。

命はそんな軽いもんじゃない・・
命の尊さを知ってもらいたいです。
from: | 2009/12/16 8:50 PM
ご意見ありがとうごさいます。この記事にコメントを頂いたのは意外でしたが、関連性はなくもありませんね(笑)。

犬たちも私にとっては、大切な家族です。ですから、彼らの健康には、いつも細心の注意を払ってきました。

けれども、去勢避妊をせず自然体で飼育することを願うあまり、一方で本文中にも書いたような「疾患」のリスクとも隣り合わせであることも認めなくてはならないでしょう。

人にとっても、犬にとっても、予告なくやって来る病は晴天の霹靂のようなものです。ただ、それを恐れてばかりはいられませんね。

人も犬も齢を重ね、少しずつ歳老いていくでしょうが、あとから後悔するような時間だけは、過ごしたくないと思うからです。

一つだけはっきりしているのは、犬たちは「今だけを生きて」、明日どうなるか?を憂えてなどいません。

この姿に私も学びたいと、いつもそう思っています。だから「今を生きる」は、私自身のモットーでもあるんですよ(笑)。どうぞ、お元気で!

from: snowy | 2009/12/16 10:10 PM
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