<< 小雪丸機械論!? MAIN 隣り合う誕生日と命日再び >>
ペット課税に思う



(珍しく寄り添って寝ている、左がユキ丸、右が小ユキ)


先週末のこと、2011年税制改正にペット課税を盛り込もうとする動きが報じられた。あくまで検討課題とのことであったが、多方面での反響もあったようだ。今回はそのことについて少し触れておきたい。したがって今回の掲載写真は、記事の中身とは直接関係がない(笑)


今回の報道に先鞭をつけた記事は、以下の読売新聞によるもの。全文をそのまま引用させていただく。


--------------
民主党税制改正プロジェクトチームは26日、2011年度税制改正に向けた政府への提言案で、犬や猫などペットへの課税を検討課題とすることを求めた。

ペットの無責任な飼育放棄などが、行政による処分費用の負担など「負の連鎖」につながっているとして、「地方自治体による登録制を導入して課金も行うことなども含め検討を提言する」とした。

課税を通じてペットの適切な飼育を促し、税収を処分費用に充てることを想定している。民主党関係者は26日、「ペットは家族の一員という人が増えている」と述べ、課税には一定の理解が得られるとの考えを示した。ただ、ペットへの課税は今年度の税制改正論議で検討課題に上っておらず、11年度税制改正で実現するかどうかは不透明だ。

過去には自民党も、動物を飼ってもすぐ捨ててしまう飼い主を減らすため「ペット税」導入を検討したことがある。(2010年11月26日23時31分 読売新聞)
--------------


記事中に「税収を処分費用に充てることを想定」と書かれている箇所には唖然とさせられるが、この内容には報道上の誤解があるかもしれない。むろん本来ならば「処分防止費用」として当てられなくてはならないはずの予算だ。このわずかな記事から今回の検討内容の全てを判断することも早計とは思うが、憂慮すべきことも多い。この報道をきっかけとして、そうした懸念の幾つかについて触れておきたい。




(城北公園、置き石の上、膝を崩している方が小ユキ)


もし本気で税制改正に盛り込むつもりなら、少なくとも「不公平感」のない導入を検討しなくてはならないだろう。簡単に言えば「正直者だけが馬鹿を見る」ような方法で実施し「取りやすいところからのみ徴収する」というような制度を導入すれば、必ず道を誤るということだ。


日本という国の実情を見てみるがよい。よほどの強制力をもった徴収方法を実施しない限り、今回の試みも上辺だけの制度に終わることは目に見えている。そもそも年金すら未納未加入のまま、自賠責なども平気で滞納し、公共NHK受信料など当然のごとく払わず、就学児童の給食費すら未払いの家庭が多々あるというような、最低義務すら不履行の輩が潜在的に多い国民事情があるのだ(極論かもしれませんが)。


そのような背景を何ら解消できぬ現状にあって、払わなければ済むような「抜け道」のある税制を導入するに当たっては、よほど慎重にやらなければ、正直者ですら背を向けたくなるに違いない。国民の理解にもむろん限度というものがある。


また、さらに重要なのは、どのようにして徴収するシステムを実現するのかということに尽きる。そもそもペットの飼育自体が、一部の業者購入以外は全て自己申告制だ。一例を犬に限れば、保健所登録も半ば任意。知己を通じてもらい受けたり、捨て犬を保護したりする場合に至っては、飼育実態など正直なところ闇の彼方だ。


保健所登録をすれば、狂犬病の予防接種通知が送られてくるようになるが、それすら反故にされていたとしても是正することすらできていない。ましてや、登録自体を意識的に行わない輩が多いとなれば、いったいどうやって彼らからペット税を徴収できるというのだろう。こうした飼育実態に網をかけることができなければ、その導入効果も押して知るべしである。






(今回は大きめのスナップで、上下どちらが誰ですか?笑)


あえて極論を述べれば、むしろ全ての給与所得者から、累進課税方式で「動物愛護税」のようなものを徴収すればよいのだ。むろん税率は低くとも、飼育頭数ゼロの者からは反論が出るに違いない。しかし、その程度の不公平感ならば、私自身に限ってみても枚挙にいとまがない。


子ども手当て、高速料金無料化、タバコ税高騰、果ては最低年金保障だと。全て我が家には、不利益のみで、何のメリットもない制度だ。その一方で財源確保の煽りを食い、所得増税、年金徴収増、果ては企業負担増の影響で、退職金や企業年金までもが確実に減額となる。言わせてもらえば老後の計画も大誤算なのだ(笑)


税金の徴収というものは、所得に応じた(いわば平等な)個人負担でなくてはならない。当然だろう。それをもし「安易に取れるところからのみ徴収」しようとすれば、国民の理解もとうてい得られまい。そして百歩譲っても、ベット先進国、欧米のような実態の把握と社会基盤が、そもそも日本にはまだないのだ。ペットに対する国民のモラルも依然として低い。


飼育実態に関してもそれは言える。いったいいつ飼い始めて、いったいいつ終了したことを適正に知るのか?動物の「ライフサイクル」を完全に追跡できるシステムこそ、真っ先に構築されるべきもので、それなくして適正な課税など叶うべくもない。現状では人間の戸籍すら正しく把握されておらず、年金台帳すら混乱の極みであるのが現実ではないか。それでどうやれば、ペットの実態までを把握できるというのか(笑)




(先週末のノーリード広場は幸いにして極めて静寂)


参考までに(少し古いデータになるが)犬の登録頭数と狂犬病予防接種に関する実態を参照しておこう。


--------------
厚生労働省調査による2007年度の登録頭数は約674万頭、接種率75.6%だが、同年のペットフード工業会の全国調査による犬の飼育頭数は約1,252万2,000頭であり、これから割り出される未登録犬も含めた予防注射実施率は約40%と、流行を防ぐために必要とされるWHOガイドラインの70%を遥かに下回っている。(Wikipediaより引用)
--------------


つまり狂犬病予防接種も、まだ過半数に満たないのが実情のようだ。しかも中途半端な法案を通せば、登録数そのものを抑止し、さらに実施率が低下する恐れもある。一方で、見方を変えれば、果たして毎年、この予防接種が必須かという点についても、本来ならば見直しが必要であるかもしれないのだ。発症率から見ても日本国内では皆無といってもよい。この件については、日本獣医師会の利権がらみの問題も含まれているようで、単純な安全管理面からだけの制度でもなさそうである。話が横道にそれるが、これは混合ワクチン接種などについても諸説紛々としている。

 

いずれにせよ、もし今回の税制検討案の骨子が以下のように安易な内容だったら、思いっきり政権担当者の無能ぶりを笑い飛ばしてやりたい。


最も容易な課税方法は、年一回義務付けられている狂犬病予防接種の通知に相乗りし、同時に予防接種料金にペット課税分を組み込んで徴収する方法だろう。これならば、従来方式の通知に新課税云々の1行を追加し、接種時に徴収する料金に導入分の追加料金を併せて払わせるだけでよい。


税率がドイツ並みとすれば、現在3500円ほどの予防接種代金が、いっきに4倍ほどに跳ね上がることになるので、多頭飼育の家庭にあっては相当の負担増となることだろう。また現行許可制度の下では、10頭以上は別途届出が必要なはずであり、その登録数も決して少なくはないと思われるが、果たしてどれだけの家庭がその登録義務を守っているかも疑問だ。




(城北公園を後にする頃、ようやく朝日が昇ってくる)


さて、今回またしても浮上したペット課税導入のニュースだったが、一部の方にとってはこのニュース、すでに過去にも幾度か浮上し消えていったという経緯をご存知のことと思う。参考までに以下の記事を引用しておく。


--------------
自民党の動物愛護管理推進議員連盟は、犬や猫などの飼い主に課税する「ペット税」の導入に向けた議論を近く開始する。
動物を飼ってもすぐに捨ててしまう飼い主を減らし、ペットを取り巻く環境改善につなげる狙いがある。議連では、ペットを購入する際に一定額の税金を全国一律で課すことを想定している。

近年、ペットの飼い主が「飼うのに飽きた」などといった安易な理由で、ペットを捨てるケースが増えている。2006年度末時点で全国の自治体に引き取られた約37万4000匹の91%が殺処分され、社会問題化している。

環境省はペットの引き取り数を17年度末までに約21万匹に抑える方針を打ち出しているが、財政難にあえぐ自治体は十分な対策を講じる余裕がないのが現状だ。この自治体の対策費の不足分を補う財源として、ペット税が浮上した。

ペット税の税収は、以下の方向で検討する。
.撻奪箸隼瑤ぜ腓瞭団蠅砲弔覆る鑑札や体内埋蔵型マイクロチップの普及
⊆治体が運営する動物収容施設の収容期間を延長するための運営費
マナー向上の啓発運動費用

議連では、「ペット税導入には、動物愛護団体からも前向きな声が寄せられている。飼い主ばかりではなく、ペット業者にも『大きく育ち過ぎたから処分してほしい』といったモラルの低下が見られるという。新税導入で殺処分減少に効果があるかどうか、検討したい」としている。
(2008/12/28の2CHスレッド前文)
--------------


要するに今回の話は、過去においても幾度か諮問された経緯がある。そういった意味では決して新しい法案の提示でも何でもないのだ。また出たか?今度こそ本当か?というのが率直な感想である。




(週明け月曜日の早朝、ようやく夜明け直後となった東の空)


また犬税という視点からは、しばしばペット先進国ドイツの例が引き合いに出される。要約すれば以下のような点に特徴がある。参考までに述べておこう。


ドイツでは(犬税が)地方税として導入されており、一般財源に組み込まれている。自治体によって税体系や金額に差があり、人口10万都市の例では1頭につき年間で1万円強ほど。複数飼育では逆に割高になり、犬種によっても(危険犬種は)割高になると言われている。しかし一方で、ドイツは動物愛護先進国としても抜きん出ており、殺処分数も極めて少ないはずだ。この殺処分の問題を抜きにして、ドイツ犬税の問題を語れないことも明らかだろう。


ともあれペット課税の導入問題は、その実施に様々な未解決問題を内在している。上記で述べたような様々なハードルをクリアした上で実施して欲しいというのが率直な感想だった。むろん課税自体は、無責任な飼い主の自覚を促すというプラスの側面はあるのかもしれない。しかしながら「ザル法案」をまたしても押し通すのか?との懸念も大きい。


改めて言うがペット課税の導入は、ペットの「ライフサイクル」と密接に関わる問題であって、決して切り離すことは出来ない。本来ならば「揺り篭から墓場まで」ペットと飼育者との関係を生涯チェックする社会的システムが必要なのだ。その実現は一朝一夕には成らないことかもしれない。しかし奥行きの深い問題であることだけは、十二分に熟慮して進めて欲しいものだと思うのである。


●追記(若干補足しておきます):

ペット課税には、まだまだ様々な考え方があると思います。本文には書き漏らしましたが、既存飼育状況を一切無視して、新規飼育のみに対して課税するという選択もあり得るでしょう。既存飼育との関連で見れば不公平と思われるでしょうが、その制度を10年20年と続けていけば、いつしか既存飼育に新規飼育が置き換わっていきます。それを待つという気の長い選択です(笑)

あるいは、既存飼育への課税は登録済みの飼育者に対して行い、一方で新規飼育者についても、初期導入手続の一環として課税する方法。しかし、この方法によっても、依然として不許可・未登録の飼育者については網羅しきれません。

ペット産業や、繁殖業者に直接課税するという方法もあるでしょう。その場合、当然のことながら、末端価格への影響が出ることは否めません。また認可された業者ならば、掌握も容易でしょうが、ブリーダーなどにおいては、不許可・未登録の業者も後をたちません。ここでも網羅性は崩れるでしょう。

ペット産業自体を狙い打つなら、商品に課税する方法も現実的です。つまりペットフードやグッズに課税するのです。その場合、消費税との重複にも何らかの配慮が必要でしょうね。以上、記事アップ後に、思ったことを書き足してみました(笑)

 



閑話休題 | 03:15 | comments(0) | trackbacks(0)
コメント
コメントする








トラックバックURL :
トラックバック
COMMENTS
CALENDAR
<< November 2018 >>
SunMonTueWedThuFriSat
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
PROFILE
SEARCH BOX

kishudog on Twitter
Follow kishudog on Twitter
小雪丸の本棚