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小スズメが来た秋分の日


台風一過…9月二度目となる三連休初日、9/23(秋分の日)のこと、その日は休日なので、明るいうちに小雪丸を連れて夕刻の散歩に出た。そして時間もあるので、出来るだけ小雪丸にコースを選ばせ、好きな方向に歩かせるようにしていた。そのこともあって、普段とは違う時刻に、普段とは違う方向で馴染みの道も歩くことになった。

ともかく問題の場所は、私ではなく「小雪丸の意思が選んだ結果」だった。その場所には、小さな雀の死骸が…いわゆる「天ヘソ」の状態でころがっていた。いや、私は死骸だと思ったのだ。野鳥が普通、腹を見せて仰向けに横たわっていることなどあり得ないから。小雪丸がそれを嗅ぎ、場合によっては前足をかけるかもしれなかった。暗ければそれを阻止することもできなかっただろう。

幸いにして、まだ日没までには時間もあり、このときだけは殆ど同時に見つけたのだと思う。とっさにリードを引き寄せ、不憫なことと覗き込んだそのとき。真新しい死骸だとばかり思っていたその雀の閉じられた瞼が突然開いた。その目が一瞬何かを訴える。思わず手を伸ばすが、小雪丸の行動範囲を遠ざけて接触することは不可能だった。

そこでやむなく小雪丸を近隣の柵に繋ぎ、それから雀の上にしゃがみこんだ。そして手を伸ばすと、意外にもそれは跳ね起きて逃げようとする。二三度の試みで、その雀はやおら数m離れた場所まで低空で飛んだ後、再び地面で横たわった。よく見られる「蝉が地面に落ちたとき」のようだと思った。



いずれにせよ、路肩にそのままでは極めて危険なので、近くの児童公園の茂みに移そうと思った。その時点では、そうして運を天に任せる選択もないではなかった。だがしゃがんで短時間の観察を続けるうちに、この雀は明らかに足に障害のあることも見て取れるようになった。そして、この付近の公園にはノラ猫が非常に多い。小雪丸の散歩でも暗がりの茂みに潜む彼らには、日夜迷惑のかけられ通しだった。鳥は夜目がきかず、まして足が不自由というのであれば、それは半日以内の死刑宣告と何ら変わるものではない。

そう思ったとき「保護して持ち帰ろう」と決めるのには数秒とかかるまい。その決断は早かったものの、問題は「その方法」だった。何しろ両手は2本のリードで塞がっている。ウエストバッグは装着していたものの、中身は満載で隙間もない。ポケットには携帯他の携行品で埋まっている。どこにも弱った雀を保護して持ち帰るゆとりがないのだ。

この出会いも偶然…普通ならそこで万事休す…なのだが、神様(私は無心論者ですが)は、ちゃんと、もうひとつの偶然を用意してくれているから不思議だ。その日の私は休日でもあり、滅多に着たことのないTシャツを着ていた。そして幸いなことに、そのTシャツには胸ポケットがある!

この幸運に感謝しつつ、そして狭い隙間でどうかと思いつつ、私はその小雀を胸ポケットに、そっと押し込んでみた。暴れて飛び出すか、へたに身をよじって翼を傷めないかと案じつつも…
ところが彼は(彼女かもしれないのだが)身じろぎもせずに、じっとおとなしくポケットに収まっている。小鳥の体温は高い。薄い生地を通して伝わってくる温もり。
この小さな命が生きているのだと思った。

それから細心の注意を払いながら、残りの散歩コースを短めに周り、無事に自宅までたどり着くと、早速、とりあえず大きな菓子箱にテッシュなどを敷き詰めて、その雀を放した。案の定、羽ばたくが、ベタ足では床にうまく停止できない。飛翔は充分に出来るが、着地後に障害がある。やはり足が悪いことは間違いないのだと思った。一時的なマヒとも考えたが、それについてはあまり期待できなかった。



我が家では以前にも道端で(先代ユキの散歩中に)仮死状態のカワラヒワを拾って保護したことがある。そのときの症状は窓ガラスにでも激突したのだろうか?脳震盪状態で朦朧としていたときだったのである。このケースでは後日、無事放鳥することが出来たのだったが…

話を雀に戻すと、ともかく暴れる元気は見られるのでホッとしながらも、詳しく観察するのは翌日にして、ちょうど日没も過ぎたので、その日は、そのあつらえの菓子箱の中で寝かせることにした。空気抜きの隙間だけを空けて、暗所に移したのである。

翌朝、夜明けと共に、そっと静かな菓子箱を開けると、雀は伸ばす手をかい潜って、天窓付近まで飛び上がった。それでも足場は確保できずに羽ばたいている。そのままにも出来ず、椅子を持ってきて再び保護し、短時間の後に、以前、やはり保護したヒヨドリに使っていた鳥かごを探し出し、それに移して様子を見ることにした。

吸水は猪口のようなものに水を注いで置いてみたが、羽ばたいてひっくり返してしまう。粟粒のような餌についても同様である。だが幸いにも、人が退くと、床に散った餌だけは自力で啄ばんでいる。これは少なくとも幸運だと思った。

改めて嘴を観察すると、僅かに付け根の部分がまだ黄色い。推定で1ヶ月と少し…巣立って自力でやっと餌をとれる段階にあるところだと思った。8月の初め頃に生まれた若鳥ではないだろうかと。

さりとても、そうして給餌は可能なるも、水が課題だった。それで庭木の葉っぱを数枚千切って来て、それを洗って与えるなどした。濡れた葉から吸水してくれないかとの期待である。
(後にそれは脱脂綿に変わった)



いずれにせよ、そのまま放置も出来ぬと、近隣の動物病院に電話をかける。この日は三連休の中日でありながら、幸運なことに「土曜日」だった。そして幸いなことに小雪丸かかり付けの獣医もやっていたのである。休日だったことも幸いした、それで車に鳥かごごと積んで早速診察に出向いた。

医師の診たては「足が動かないのは生育時の栄養障害かもしれない」「ともかくビタミンを入れた水と抗生物質を少量与えて様子を見る」というものだった。それで、点眼スポイトに吸水用の水と、別スポイトには抗生物質の液体、それを処方してもらい、あとは我が家で様子をみることとなった。

冷蔵庫にあったミルワームも頂き、食べるようなら与えてみて…と言われたが、結論を言うならば、それはまだ上手く食べさせられずにいる。しかし吸水はもらった点眼スポイトで上手くできる。嘴に押し当てると何とか飲ませることができるのでホッとした次第だ。しかし…自力吸水ができないと毎回の手間が馬鹿にならない。家が無人になることもあるから、今後どうなるかで不安材料も多いことになる。

ともかく、そうして残る2日間の休日は終わった。週明け私は出勤なので、夜は帰宅後の様子を見ることが出来なかった。なぜなら私の帰宅時は、すでに真っ暗なのだから、改めて雀を起こすにはあたるまい。明朝、再開して、抗生物質などを投与しながら様子を見る。ともかく、この雀に「鈴」という名をつけることにした。

と…ここまでは昨日時点での状況であった。また一夜明け…さてネットなどでも、あれこれ調べてみると、この雀の病名…素人判断ながら以下のものではないかと思っている。

「栄養性脚弱症」この病気は差し餌から大人の餌に変わる時期の若鳥に多く発生する病気で、家庭用の文鳥などでも見られる病気という。野鳥の場合は同様にして充分な給餌がなされなかったものか?あるいは保護した日が、台風通過の翌々日だったこととも何らかの関係がないかとも思いながら、所詮想像の域を出ない。



そこにはこうも書かれている。「成長期にただのムキアワのみで餌付けをすれば栄養障害になる危険もあるので注意しなければならない」以下は再び抜粋である。

「例えばタンパク補充にきな粉(大豆)やフナ粉(魚)、B1補充にぬか(米)やビール酵母(大麦)、ビタミンD3補充に卵の黄身やフナ粉(塩分控えめの煮干し粉でも良いだろう)、カルシウム補充にボレー粉末やカトルボーン粉末、・・・こうした一般的で簡単に手に入る数ある選択肢の中から少しずつ混ぜれば良い。また、それらがいろいろ混ぜられた野鳥用のすり餌を利用しても良い」

そしてさらに「ビタミン、カルシウムの補給の為にも、青菜、ボレー粉などはよく食べさせるように」「小松菜なども効果がある」などとも書かれている。などなど…ともかくまだ暗中模索。場合によっては5年前、ヒヨドリ保護のときに通った埼玉県川口市の専門病院(池谷犬猫鳥の病院という)に一度連れて行くことも考えねばなるまい。

あるいは、以下のサイトなども参考になりそうだと思った。参考(足の障害)すずめっ子クラブWiki
http://bit.ly/nfOvHE

そこには、こんな記述も…「両足がグーのケースでは、とまり木にとまることが出来なくて長期保護になる事が多いようです。栄養バランスを整えることで改善する場合があります」
「足の力が弱く立って歩いたり、とまり木にとまることが出来ない。卵や雛の時の栄養不良が原因の場合、栄養バランスを整えることで改善する可能性があります」「特に保護されたヒヨドリがビタミン不足等により、この障害が出るケースが多いようです。ビタミン剤、セレンの投与を獣医に相談して下さい」などなど…



(ついでに 2011.09.24 小雪丸の城北公園散歩にて)

さて、もうひとつ不思議なことだが「鈴」はまだ一度も囀らない。足が動かないこととの因果関係も含めて、真相はまだ謎のままだ。それでも文鳥などの例では「鳴かない鳥は雌」といった記述も見られ、インコなどでも類似の表現が見られる。一般論で言えば、あくまで囀りの性別は種類や個体差との関連もあると書かれているものが多いようだが、一つの可能性としてみれば、「鈴」は雌なのかもしれない。

こうして、我が家では「青天の霹靂」…それも台風一過に、突然、両足の萎えた雀の若鳥を保護することになった。こうした経験は初めてではなく、過去に幾度かはあったが、今回は身近な雀であるにも関わらず、あれこれと試行錯誤することも多い。この出会い…果たしてどうなるのだろうか。唯一明らかなことは「もう後戻りは出来ない」ということ。「秋分の日」は思いがけない命を運んできたものだと思いながら、これも運命と受け入れるしかあるまい。

追記:本稿記載の翌日、ボレーや卵黄を含んだ顆粒状の餌と、青菜を充填した顆粒粉末とを購入してきた。今後はしばらくそれを粟粒などに混ぜて与えてみようかと思う。また給水は陶器で大き目の器を準備したので、しばらくそれに水を張って様子を見る。器の上には乗れるようなので、あとは自力で水を飲んでくれれば良いと期待しながら…




一期一会 | 02:11 | - | trackbacks(0)
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